長胴太鼓(宮太鼓)
一般的に太鼓と言えば、ほとんどの方が想像するであろう太鼓がこの長胴太鼓だと思います。
もともとは神社仏閣で使われる事が多いため、宮太鼓とも言われます。
一本の木をくりぬいて、そこに皮を張り、金属の鋲で留めます。
左が一尺四寸の長胴太鼓、右が一尺九寸の長胴太鼓
胴の素材
色々とありますが、響きや硬さ、見た目の美しさ等から“欅(ケヤキ)”が最も好まれます。
私たち大江戸助六流の太鼓は、フチや胴を打つことが比較的多い為、バチに負けない硬さも重要で、欅くりにきの太鼓を使用しています。
しかし、一本の木をくりぬき太鼓を作る為には、樹齢何百年と言う木が必要で、今の日本では殆ど伐採する事ができず、
輸入物の欅を使う事が多いようで、そして何より高価です。
その他にも、花梨、タモ、松、桜等の木材や、とにかく硬さを重視するため、高級木材の黒紫檀(総称)を使ったり・・・
伝統的な奏法や、演奏スタイルによって求められる要素、言わば特徴や性能によって様々な素材が使われます。
番外編としては、先にも触れたように、1本くりぬきの太鼓は高価であり、なかなか簡単には購入できない場合も多いでしょう。
そのため、近年くりぬきではなく、木材を貼り合せた集成胴や、グラスファイバー胴等、メーカー様も色々研究され、
安価で手軽に購入できる太鼓も増えてきました。
皮の種類
皮の素材は牛の皮、中でも牝牛は伸びが良く、耐久性にも優れていると言われます。
太鼓の音色を決める重要なパーツであり、厚さや加工の違いにより、大きな差が生まれます。
番外編としては、牝牛ではなく、水牛も使う事で価格を抑えた太鼓もあります。
長胴太鼓は、一度皮を張ってしまうと、簡単には張替ができません。また、胴の中のくりぬき方によっても響きが変わります。
そして、胴も皮も天然素材の為、気温や湿度大きく影響され、音程、響き、タッチ感すべてが変化し、
毎回演奏の度に楽器の機嫌(笑?)を伺う必要があります。
締太鼓
お囃子や、獅子舞の伴奏などでも目にしたことのある方も多いと思います。
一般的にはくりぬき胴に、金属のリングで張った皮を、ボルトや縄で締め上げた太鼓です。
勇翔太鼓では主に二丁掛けを使用、左が縄締め、右がボルト締め
素材
素材は長胴太鼓同様、欅等の木材の胴、皮は牛皮が一般的です。
締太鼓は大きさではなく、皮の厚み(リングの太さ)でかわります。
一般的に、並附(ナミツケ)、二丁掛、三丁掛、四丁掛、五丁掛と皮が厚くリングが太くなり、
大きさも徐々に大きくなります。
特徴
この太鼓の特徴な何と言っても、締め具合によって音程を変化させられること。
長胴太鼓とのアンサンブルで使用する為、勇翔太鼓ではその日の長胴太鼓の機嫌に合わせて音程を調節しています。
と言っても、その締太鼓にも機嫌や個性があるため大幅な調整はできませんが・・・
あと、長胴太鼓と違い、胴と皮を分解しメンテナンスをしたり、皮だけ購入して張り替えたりと使い勝手は良いと思います。
桶胴太鼓
この太鼓も締め太鼓同様、胴に皮を張り、縄で締め上げた太鼓。
しかし、胴の作りはくりぬきではなく、細長い木の板を貼り合せた、ちょうどお風呂の桶や樽のような作りです。
そのため桶胴太鼓と呼ばれます。
一尺六寸の桶胴太鼓、色が塗ってある為分り辛くてすいません・・・
素材
一般的に胴は杉や桐の板材、打ち込んで演奏するスタイルの皮は牛皮が多いようですが、
太鼓を肩紐(ストラップ)等で担ぐ演奏用には、馬革を使ってたりもします。
大きさは打面の口径で分れており、勇翔太鼓では一尺二寸、四寸、六寸、二尺と使用しています。
胴の長さもオーダーメイドで調節されている方が多い用に思います。
特徴
この太鼓も締太鼓同様、縄の締め具合により音程の調節ができ、メンテナンスもしやすいと思います。
勇翔太鼓では、ドラムセットのように並べて、主に楽曲のメロディーをつける目的で使用しています。